感謝記録で、過ぎたことやまだ見ぬ未来から、確かな「今」へと心を移す
過ぎたこと、これからへの不安、そして感謝の記録
日々の生活の中で、私たちはつい過去の出来事を悔やんだり、まだ来ぬ未来に対して漠然とした不安を感じたりすることがあります。心があちらこちらに飛び、目の前の「今」に落ち着いていられないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような状態が続くと、疲れやすくなったり、日々の小さな喜びを見過ごしてしまったりすることもあるかもしれません。
心が過去や未来に囚われてしまうのは自然なことでもありますが、その一方で、私たちの足元にある「今、ここ」に意識を向けることが、心の穏やかさや安定につながることもまた事実です。そして、「感謝の記録」というシンプルで手軽な習慣が、その手助けとなる可能性を秘めています。
なぜ感謝の記録が心を「今」に戻してくれるのか
感謝の対象となるものは、基本的には「今、ここ」で起きていること、あるいは「今」につながる身近な過去の出来事です。例えば、「今日の美味しい食事」「心地よい風」「誰かからの親切な言葉」など、これらはすべて目の前の現実や、ごく近い過去に根ざしています。
意識的に感謝を探し、それを記録する行為は、私たちの注意を自然と「今、ここ」にあるものに向けさせます。過去の失敗や未来の心配ではなく、今確かに存在している良いこと、ありがたいことに焦点を当てる練習になるのです。これは、難しい理論を知らなくても、どなたでもすぐに始められる心の習慣と言えます。目の前の確かなものに焦点を当てることで、心のざわつきが少しずつ落ち着き、穏やかな気持ちで「今」を過ごす時間を増やすことにつながります。
「今」に気づく感謝の記録を始めるためのヒント
感謝を「今」に気づくための記録とするために、特別なことをする必要はありません。日々の当たり前の中に目を向けることから始めてみましょう。
- 五感で感じたこと: 今、聞こえる音、見える景色、肌で感じる空気、味わっているもの、漂ってくる匂いなど。五感は常に「今」を捉えています。
- 身近な人やモノ: 当たり前にそばにいてくれる家族や友人、毎日使うお気に入りのマグカップ、体を休める場所など。
- 自分自身の状態: 今、健康であること、怪我なく過ごせていること、温かい布団で眠れることなど。
- 自然の移ろい: 今日の天気、空の色、道端の植物の変化など。
感謝を記録する場所は、どのような形でも構いません。手帳の隅に書き留める、スマートフォンのメモ機能を使うなど、ご自身が最も手軽だと感じる方法を選んでください。もし、感謝の記録をより習慣化したいと感じるようでしたら、記録するためのツールを活用してみるのも良い方法です。形式にとらわれず、思いついた時にさっと記録できる手軽さは、続ける上で大きな助けとなります。
無理なく続けることが大切です
過去や未来に心が囚われそうになる時があっても、それは自然なことです。感謝の記録は、完璧を目指すものではありません。数分でも構いませんので、「今、ここ」にある小さな「いいこと」に意識を向ける時間を日々の生活に取り入れてみてください。
記録を続けていくうちに、過去の後悔や未来への不安に心を奪われる時間が少しずつ減り、目の前の確かな日々に意識を置くことが自然になっていくのを感じられるかもしれません。感謝の記録は、あなた自身の心を「今」という穏やかな場所に静かに戻してくれる、ささやかな羅針盤のような役割を果たしてくれるでしょう。